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Sigfox見守りシステム

2019.12.16

こんにちは。イーアールアイの三浦です。

皆様はSigfox(シグフォックス)という無線通信をご存知でしょうか?
LPWA(Low Power Wide Area)と呼ばれるIoTの注目技術のうちの1つです。

この技術に対し、イーアールアイはSigfoxのデバイス開発パートナーになっています。
https://www.kccs-iot.jp/partner/device/

省電力な長距離無線通信

Sigfoxはフランス生まれの省電力な長距離無線通信です。 日本では京セラコミュニケーションシステム(KCCS)が唯一の通信キャリアとなっています。

2019年10月時点での国内の人口カバー率は95%になっています。
携帯電話回線のようにKCCSが全国に基地局を設置してくれているおかげで、インフラ構築を気にせずに利用することができます。
その代わり、KCCSに支払う通信料が必要になりますが、携帯電話回線と比べるとかなりコストを抑えることができます。 (1年間で数百円程度。)

LPWAの特徴でもありますが、省電力で長距離通信できることが強みです。その一方で、1度に送信できるデータ量が少ないことが弱みです。Sigfoxの場合、なんと1回の送信でたったの12byteしか送れません。しかも1日に最大140回しか送信できない制限があります。

ですので、例えば30分に1度だけ圃場の温湿度を送信する農業用センサや、1時間に1度だけGPSの情報を送る物流トラッキングデバイスなどに向いています。

ここまでをまとめると、Sigfoxはリアルタイム性は不向きだが、低コスト、低消費電力に最適な通信の1つであり、これらをマッシブIoTと呼んだりもします。

また、Sigfoxはアップリンク (エンドデバイスからクラウド へ)に特化した通信とも言えると思います。一応ダウンリンクにも対応していますが、おまけ程度の用途でしかありません。

Sigfoxを使った高齢者の見守りシステム

今回は上述してきたSigfoxを利用した試作システムのご紹介をします。
想定するユースケースは独居高齢者の見守りです。

高齢者向けの見守りシステムとして色々なシステムが提案されていますが、その多くはWi-Fi接続が必要だったり、携帯電話回線の契約が必要なものになっています。しかし、高齢者の方々は、ご自宅にインターネット回線をお持ちでない方々が多いですし、携帯電話回線の契約に抵抗感のある方々も一定数いるようです。

そこで、Sigfoxの省電力と通信料の安さを活かして見守りシステムを作ってみたら便利なのではないかと考え「電池駆動で簡単に設置できて、(例えば)5年分の通信料を機器代金に含めて販売しても数万円で済む」ようなシステムを想定しました。

以下、システム構成です。

3種類のセンサからセンサデータをBluetoothでゲートウェイに集約します。ゲートウェイからSigfoxでセンサデータを基地局に送信し、Sigfox Cloudを経由して自社クラウドサーバーで可視化します。

Bluetoothは家庭内で隅々まで電波が届くようにBluetooth 5.0のLong Range(Coded PHY)を利用しています。

人感センサ:居間や玄関などに設置する想定です。焦電型赤外線人感センサを利用して高齢者が移動したり、動きを検知したら反応し、その情報をゲートウェイに送信します。電源にはコイン電池を利用しています。

体調通知スイッチ:高齢者が能動的にスイッチを押して、その日の体調を知らせる想定です。試作機は味気ない見た目ですが、上から「体調が良い」「まあまあ」「体調が悪い」の3段階で高齢者の体調状態を表現しましたが、改良版を作る場合はイラストなどを入れようと思います。こちらも電源にはコイン電池を利用しています。

環境センサ:市販の環境センサを利用しました。温度、湿度のデータをBluetoothで送信します。温度、湿度のデータは高齢者の熱中症予防に役立てます。

BLE-Sigfoxゲートウェイ:Bluetoothでセンサデータを受信して、Sigfoxで送信します。Sigfoxは外部アンテナを使って、できるだけ安定して通信出来るようにします。今回はUSBから給電して動作するようにしましたが、BluetoothとSigfoxの省電力性能であれば電池で動作できるように工夫することもできそうです。

クラウドに集めたデータは、パソコンやスマートフォンから確認出来ます。

イーアールアイ本社がある盛岡も概ねSigfoxのサービス範囲に入っていますが、ゲートウェイが屋内にあると、稀に送信したはずのデータがクラウドに届かない場合がありました。ゲートウェイはできるだけ窓際に置くなど、設置や運用にも少し工夫する必要がありそうです。

Sigfoxを利用した製品開発でお困りのことがありましたら、是非一度イーアールアイにご相談ください。

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